平成元年、父は胃ガンにより、55歳の生涯を閉じました。県立西日野養護学校に在職中でした。 私に残された遺書には、ただ、短歌集を出版して欲しいと書いてありました。約束を果たせぬまま、10年の月日が流れてしまいました。しかし、20世紀の一つの記録として、また、障害者問題に興味を持っている人々のために、どうしても残しておかなければと、こうして遺作集を作ることにしました。 ホームページという手段が果たして、父の意志を報いることになるかどうか・・・少し、心配です。しかし、障害者教育や短歌に興味を持っていただいている方に広く見ていただくには、あるいは、出版よりも良いかもしれないと思っています。父が亡くなった時点では、もちろん、このようなインターネットの普及などということは考えられないことでしたから・・・ この短歌集が歌いあげる世界には非常に複雑な問題を内包しており、人によっては不快になるような言葉も含まれています。しかしこれは、作者である父が見てきた障害者の厳しい実状に眼をそらさず歌を詠んだ結果なのです。また、歌中には今となっては差別と取られるかもしれないような言葉もまじっているかもしれません。しかし、作者が故人であること、また、その時代と現実のありのままの姿を伝えようとそのまま収録しました。(このホームページに掲載した歌は、生前発表されたものとは少し異なる場合があります。これは、父が、短歌発表後も、より良いものにしようと推敲を続けていた結果です。) 率直な御意見、御感想などがありましたら、御連絡いただけましたら幸いです。 編集責任者 村川 実 E-Mail:info@minomusi.net |