高山寺と伊作田稲荷神社

高山寺

 高山寺(こうざんじ)は、田辺に古くからある名刹で、創建は、聖徳太 子に よるもので、弘法大師・空海によって中興されたと伝わります。もちろん、聖徳太子による創建という話は、疑わしいのですが、山内には、貝塚跡が三カ所発見 されていて、古くから、人が住んでいた事がわかっています。
 残念ながら、天正13年(1585)の秀吉による紀州攻めで、一度消失し、古い記録は、この時、失われたという事です。

高山寺縁起
高山寺縁起
聖徳太子を祀ったことや、空海と稲荷神の出会い、秀吉の紀州攻めの中で弘法大師の像を伊作田稲荷に避難させた 事な どが書かれている
高山寺
高山寺
高山寺正門の石標
高山寺正門の石標
聖徳太子像
高山寺の聖徳太子像
鎌倉時代に作られたとされる
和歌山県立博物館「田辺・高山寺の文化財」より
高山寺貝塚跡
高山寺貝塚跡
高山寺周辺は古くから人が棲みつき、高山寺からは、多数の貝殻、動物骨、縄文式土器が出土している
弘法大師像
高山寺の弘法大師像
鎌倉時代に作られたとされる
和歌山県立博物館「田辺・高山寺の文化財」より

伊作田稲荷神社

 伊佐田稲荷の由緒書によれば、創建は、神武天皇の頃と書かれていま す。こ の由緒書が正しければ、その創建は、奈良時代に創建と伝わる伏見稲荷より古く、 日本最古の稲荷と伝わる糸 我稲荷(いとがいなり)の37代孝徳天皇白雉3年創建よりも古いという事になります。
 しかし、おそらく、これは、社の由緒を誇大に宣伝する神話的創作でしょう。そういう風に神威を強調しているにもかかわらず、伊作田稲荷の由緒書には、信 頼すべき東寺の伝書 である「稲荷大明神流記」の空海の稲荷灌頂の話も書かれていなければ、高山寺のこの伊作 田稲荷に弘法大師像を隠したという話も掲載されていません。
 特に、この伊作田稲荷大明神(伊作田阿羅毘可(あらびか)大明神)が、灌頂されて、伏見稲荷になった・・・すなわち、この社が、伏見稲荷の源であるとい う由緒正しく誇りにしていい話が、地元で完全に無視されているのは、非常に不思議で・・・もったいないことです。
 何故なのでしょう?明治の「神仏分離令」の弾圧のためでしょうか?伏見稲荷灌頂の老翁が、阿羅毘可(あらびか)という名前では、都合が悪いのでしょう か?
 話は、脱線しますが、この稲荷灌頂伝説が、円珍にも仮託されていることを、「高野山縁起2(南 山の犬飼と稲荷神)」で述べました。この円珍が稲荷神と出会った場所とされている「稲葉根王子」でも、やはり、その説 明板に、稲荷神と円珍の出会いの事は書かれていません。
 これは、わざと隠しているんじゃあないか?そんな疑いを持ってしまいます。
伊作田稲荷神社入口
伊作田稲荷神社入口
稲荷神社としては、かなり大きめの神社である
伊作田稲荷神社参道
伊作田稲荷神社参道
境内に続く参道も広い
伊作田稲荷神社由緒書
伊作田稲荷神社由緒書
元が、阿羅毘可大明神という名前だった事がかかれている。
しかし、空海の稲荷灌頂の話も、高山寺の弘法大師像を隠した話も書かれていない
伊作田稲荷神社社殿
伊作田稲荷神社社殿
伊作田稲荷神社狐左
伊作田稲荷神社狐左
口に巻物をくわえている
伊作田稲荷神社狐右
伊作田稲荷神社狐右
口に宝珠をくわえている

龍神山・龍神宮

 龍神山編集委員会の発行する「龍神山とその里山」という地元の本によ れ ば、弘法大師が「高山寺を建立するに当り、先ず裏鬼門の方角に当る龍神山に登り荒れ果てていた神殿を改築され、遠く京都から愛宕(あたご)さんを迎えられて末社 とし「げどの谷」の大岩の上で護摩を焚いて天地の神々に祈りを捧げた」といいます。また、高山寺の縁起には、「ここ に諸人済度を誓い給う深き契(ちぎり)を偲ばれつゝ共に山上の上宮太子と如来の御像を拝し、一切衆生結縁の密法を修し給えり」と空海が稲荷神と共に、龍神 山に登った事を 書いています。
 龍神山・龍神宮が、阿羅毘可(あらびか)の伝説と密接に結びついている事は、間違いありません。
 それにしても、龍神山の上にある「げどの谷」の意味が気になります。「げど」は何の意味でしょうか?私は、阿羅毘可(あらびか)はアラビアの意味ではな いかと考えていますが、おそらく、「げど」もアラビアかペルシャ語でしょう・・・もし、わかる方がいらっしゃいましたら、教えてください。
 2016/2/24 追記  解けました!😇  もし、龍神楊貴妃伝の続きを書く日が来たら、その時、発表しますね!
 
龍神山案内石標
龍神山案内石標
龍神山
龍神山頂上
龍神宮
龍神山、頂上付近にある龍神宮
龍神山竜泉
竜泉
龍神宮の隣りにあり、高峰の上にあるにもかかわらず、干ばつにも水枯れしないという。
ここで、天女が水浴びをしていたという伝説もある
龍神山の沢
龍神山頂上付近の沢
龍神山の鳥居
龍神山、山中にある鳥居

解明された世界を強震させる真実のミステリー

どうか貴方自身の眼で確かめてみてください!

龍神楊貴妃伝1「楊貴妃渡来は流言じゃすまない」


ペーパーバック版、電子書籍版

龍神楊貴妃伝2「これこそまさに楊貴妃後伝」


ペーパーバック版、電子書籍版